コチニールで染めた繊維の画像

コチニール色素って知っていますか?
カイガラムシと呼ばれる虫から採取される赤色っぽい着色料のことで、
食品なんかによく使われているものです。

スーパーの惣菜コーナーでよく買い物をする人は、
知らず知らずのうちに食べているかもしれませんね。

さて、そんなコチニール色素について、
アレルギーの危険性があるのか?
スターバックスでは使用停止されたのか?
ということについて取り上げていきます。

学生時代、家庭科で食品添加物に関する授業を受けた時、

「イチゴ牛乳やアセロラドリンク、ファイブミニなどの
飲料水やハムなどの赤い色は、コチニール色素という
虫から抽出した色素が使われています。」と習った記憶があります。

それ以来「虫で出来てる?!→なんだか怖い・・・」と、
クラスメイトたちと、当時クラスで人気だった
アセロラドリンクをしばらく飲まなくなった思い出があります。

(ちなみに、ニチレイアセロラドリンクには、
現在はアントシアニン色素とカロチノイド色素が使われています)

このコチニール色素、敬遠する人も多いようですが、
そもそもどのように作られているのでしょう?
添加物として、安全性はどこまで確認されているのでしょうか?

 

コチニール色素の原料とは?

コチニール色素は、カイガラムシ(臙脂虫・エンジムシ)という、
中南米原産の虫を乾燥させ抽出した天然色素です。

えんじ色、って聞いたことはありませんか?
あの深い赤い色は、このコチニール色素で染めた色なのだそうです。
友禅や紅型の染料として、現在も利用されています。

食品では、ハムやかまぼこのピンク色の着色に使われています。
お酒では、古くからカンパリというリキュールの
赤い色の着色に使用されてきました。

また、口紅などの化粧品の着色にも使われています。

コチニール色素の歴史は古く、
古代インカ帝国の時代から、
衣服や装飾品の着色に使用されてきました。

アレルギーの危険性があるって本当?

コチニール色素を含む化粧品の使用や
食品の飲食によって、食物アレルギーによる
急性アレルギー反応(アナフィラキシー)
が起きる事例が昨今では報告されています。

近年の研究によると、コチニール色素自体が
アレルギーを起こすのではないとのことです。

色素を抽出する際に生じる、
除去しきれない不純物に含まれるタンパク質が
アレルギーの原因になることが判明しました。

それを受けて、そのタンパク質を除去する製法が導入され、
低アレルゲンのコチニール色素が開発されるようになってきています。

コチニール色素の安全性については、
天然色素の中でも高いレベルで評価が行われていて、
安全性に関するデータも多い色素です。

食品添加物ガイドラインで要求される
安全性試験項目は全て終了しており、
反復投与毒性試験や変異原性試験などが行われていますが、
いずれの試験でも安全性に問題ないという結果が出ているそうです。

ただ、海外の添加物メーカーでは、こうした国内の安全基準を
十分に満たしていないところもあります。

そうした海外の添加物メーカー製の色素を
使用している日本の食品メーカーもありますし、
海外で製造、輸入されている加工食品にも含まれている可能性はあります。

完全に無害で安全です!とはっきりしたことは言えませんが、
ほぼ安全と考えてよいのではないでしょうか。

 

スターバックスでは、使用中止も?

アメリカ・スターバックスは、
このコチニール色素の使用を段階的に中止すると発表しました。

おそらく、コチニール色素の原料がカイガラムシだということで、
多くのクレームが来たのだと思われます。

取りやめた主な要因は、
生物に由来する色素を使っているということで、
ベジタリアンの人を考慮したのではないかと言われています。

個人的には、もう虫に由来しているということには
嫌悪感はそれほど感じませんし、長い歴史のある色素ですので、
それほど気になりません。

そのことよりもむしろ、コチニール色素も含め、
多くの添加物がたくさん使われている
インスタント食品や加工食品が、
手軽に食べられる環境にあることのほうが、怖いような気がします。

手間がかからずに食べられるからといって、
出来合いのお惣菜や加工食品、
インスタント食品を無自覚に食べてしまうのではなく(反省)、

手作りのパンを焼いたり、手作りのお菓子を作ってみたりして、
できるだけ加工されていない食材から自分で手作りすることが大切なのではないかと思います。