なたね油のボトルと菜の花

「キャノーラ油は認知症のリスクを高める」という話がありますが、人で確かめられたものではありません。もとになっているのは、マウスやラットを使った一部の実験です。動物実験の結果がそのまま人に当てはまるとは限らず、キャノーラ油を避けるべきだという国や専門機関の勧告もありません。

この記事では、キャノーラ油が「危険」と言われる理由のどこまでが本当か、サラダ油との違いをまとめました。

キャノーラ油とは

キャノーラ油は、品種改良した菜種(キャノーラ種)からとった油です。昔の菜種に多かったエルカ酸という脂肪酸を、少なくするように改良されています。国内で「なたね油」として売られている油の多くは、このキャノーラ種が原料です。

食品成分表のなたね油の値(100gあたり)は、飽和脂肪酸7.1g、オレイン酸など60.1g、リノール酸18.6g、α-リノレン酸7.5gで、よく使う油の中では飽和脂肪酸が少なく、オメガ3も含む油です。詳しくは菜種油の記事にまとめています。

「認知症のリスク」はどこから来た話?

  • 海外の研究で、アルツハイマー病のモデルのマウスに、キャノーラ油を多く含むえさを与えたところ、記憶の働きが落ちた、という報告がありました。
  • 国内でも、特定の種類のラットにキャノーラ油を与えると寿命が短くなった、という研究が話題になったことがあります。

どちらも、特定の動物に、人のふだんの食事とは違う量や条件で与えた実験です。人でキャノーラ油が認知症を増やすことを示した研究はありません。

元の記事のタイトルでは「危険で認知症のリスク?」としていましたが、誤解を招く書き方だったので訂正します。

サラダ油との違い

  • キャノーラ油:原料が菜種(キャノーラ種)の油。
  • サラダ油:精製度が高く、生でも使える油の呼び名。なたね油と大豆油を混ぜた「調合油」が多い。

キャノーラ油だけで作られたサラダ油もあります。サラダ油についてはサラダ油の記事にまとめています。

結局、どの油を使えばいい?

正直、特定の油だけを「危険」として避けるより、油全体の量と、古くなった油を使わないことに気をつけるほうが、ずっと大事だと思います。

  • どの油も大さじ1で約100kcal以上
  • 開けたら1〜2か月をめどに使い切る
  • 揚げ油の使い回しはほどほどに
  • いくつかの油を、料理によって使い分けるのも一つの方法

まとめ

  • キャノーラ油と認知症の話は、動物実験がもと。人では確かめられていない
  • キャノーラ油は飽和脂肪酸が少なく、オメガ3も含む
  • サラダ油は精製度の高い油の呼び名で、キャノーラ油のものもある
  • 気をつけるなら、油の量と鮮度

ほかの油の比べ方はオリーブオイルの記事にまとめています。

参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(脂肪酸は脂肪酸成分表編の値)/日本植物油協会