キムチの瓶とヨーグルト

善玉菌を増やすには、①菌そのものをとる(ヨーグルト、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品)と、②善玉菌のエサをとる(食物繊維、オリゴ糖)の2つを組み合わせるのが基本です。食べた菌は腸にずっと住みつくわけではないので、どちらも「続けてとる」ことが大事です。

この記事では、善玉菌と悪玉菌の関係、善玉菌を増やす食べ物、発酵食品をとるときの塩分などの注意点をまとめました。

善玉菌・悪玉菌・日和見菌とは

腸の中には、たくさんの種類の細菌がすんでいます。大まかに、次の3つに分けて説明されることが多いです。

  • 善玉菌:ビフィズス菌や乳酸菌など。糖を分解して乳酸や酢酸をつくり、腸の中を酸性に保ちます。
  • 悪玉菌:ウェルシュ菌など。増えすぎると、たんぱく質を腐敗させて、においの強いガスなどをつくります。
  • 日和見菌:どちらとも言えない菌。数としてはいちばん多いグループです。

「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7が理想」という言い方をよく見かけますが、はっきりした研究にもとづく数字ではありません。腸内細菌の組み合わせは人によってかなり違い、「これが正解」という比率は決まっていない、と考えておくのがいいと思います。

大人の大腸では、善玉菌のうちビフィズス菌が乳酸菌よりずっと多いとされています。

善玉菌を増やす食べ物①:菌をとる(発酵食品)

  • ヨーグルト・乳酸菌飲料:乳酸菌やビフィズス菌が入っています。商品によって菌の種類が違います。
  • ぬか漬け・キムチ:植物性の乳酸菌を含みます。
  • みそ・しょうゆ:こうじ菌や乳酸菌、酵母が関わってつくられます。みそ汁のように加熱すると菌の多くは死にますが、死んだ菌も腸内細菌のエサになると考えられています。
  • 納豆:乳酸菌ではなく納豆菌です。元の記事では乳酸菌の食品として並べていましたが、正しくは別の菌です。納豆は食物繊維も多い(100gあたり9.5g)ので、②のエサとしても優秀です。

食べた菌の多くは、腸にとどまらずに出ていきます。それでも、通っていく間に腸内の環境に働きかけるとされているので、毎日少しずつとるほうが向いています。

善玉菌を増やす食べ物②:エサをとる(食物繊維・オリゴ糖)

善玉菌は、人が消化できない食物繊維やオリゴ糖をエサにして増えます。食品成分表の食物繊維の値(100gあたり)を見ると、次のようになります。

食品 食物繊維(100gあたり) ポイント
納豆 9.5g 1パック40gで約3.8g
ごぼう(ゆで) 6.1g オリゴ糖も含む
キウイフルーツ(緑) 2.6g 1個で約2g強
たまねぎ(生) 1.5g オリゴ糖も含む
バナナ 1.1g オリゴ糖も含む

ほかに、海藻、きのこ、豆、オートミール、大麦なども、善玉菌のエサになる食物繊維が多い食べ物です。詳しくは食物繊維が多い食べ物一覧にまとめています。

ヨーグルトにバナナやキウイを入れる、みそ汁にたまねぎとわかめを入れる、のように①と②を同じ食事で組み合わせると、続けやすいです。

悪玉菌が増えやすい食生活

食物繊維が少なく、肉や脂の多い食事が続くと、悪玉菌が増えやすいと言われています。肉が悪いというより、野菜や豆、海藻が足りないことのほうが問題になりやすいです。

ほかに、睡眠不足やストレス、運動不足なども、腸の調子に影響すると言われています。

発酵食品をとるときの注意点

  • 塩分:食品成分表の食塩相当量は、キムチが100gあたり2.9g、きゅうりのぬか漬けが5.3g、淡色辛みそが12.4gです。小皿のキムチ(50g)で約1.5g、みそ汁1杯(みそ12g)でも約1.5gになります。1日の食塩の目標量は成人男性7.5g未満、女性6.5g未満なので、漬物とみそ汁を毎食重ねると、すぐに届いてしまいます。
  • 砂糖:甘いヨーグルトや乳酸菌飲料は、砂糖が多いものがあります。乳酸菌飲料(乳製品)は100gあたり炭水化物16.4gです。
  • サプリメント:乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントもありますが、食べ物と違って食物繊維などは一緒にとれません。体調に不安がある人や治療中の人は、医師に相談してください。

もうひとつ、正直に書いておくと、同じものを食べても、合う・合わないは人によって違います。ヨーグルトでお通じがよくなる人もいれば、あまり変わらない人もいます。1つの食品を2週間くらい続けてみて、変わらなければ別のものに変えてみる、くらいの気持ちでいいと思います。

よくある質問

善玉菌が増えると何がいい?

お通じが整うことが、いちばん実感しやすいと思います。腸内細菌と免疫などの関係も研究が進んでいますが、「善玉菌を増やせば病気が防げる」とまで言えるものはまだ多くありません。

ヨーグルトは毎日どれくらい?

決まった量はありませんが、1日100〜200gくらいが取り入れやすい量です。カロリーや選び方はヨーグルトの記事にまとめています。

便秘が続くときは?

食事を見直しても続く場合や、急に便通が変わった、血が混じる、おなかの痛みが強い、というときは、医療機関を受診してください。

まとめ

  • 善玉菌は「菌をとる(発酵食品)」と「エサをとる(食物繊維・オリゴ糖)」の組み合わせで増やす
  • 理想の比率「2:1:7」に確かな根拠はない。腸内細菌は人によって違う
  • 納豆は乳酸菌ではなく納豆菌。ただし食物繊維が多くておすすめ
  • 漬物・みそは塩分、甘いヨーグルトは砂糖に注意

1日に食べた物のカロリーとPFCのバランスは食事のカロリー・PFC計算ツールで確かめられます。

参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準」/厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」