オウム真理教の画像

平成7年(1995)3月20日、午前8時のラッシュアワー時の
東京地下鉄にて、猛毒ガス・サリンが撒かれ、
乗客や駅員が呼吸困難や視覚異常を訴え、13人が死亡、
約3,800人もの人たちが重軽傷を負いました。

その2ヶ月前には阪神淡路大震災が起きており、
日本の「安全神話」が音を立てて崩れていった時期でした。

この地下鉄サリン事件を含め、
連日報道される数々の凶悪事件が、
オウム真理教というひとつの宗教団体によって
引き起こされていく事が判明していきました。

当時私は小学生でしたが、とにかく個人規模ではない、
とてつもなく大きくて凶悪な力が働いている事に、
ただただ恐怖を感じていました。

現在も多くの人たちがPTSDに苦しんでいる
この事件は、どのようなものだったのでしょうか?

修行内容は?

当初はヨーガの手法による修行が行われていましたが、
その後「イニシエーション」と呼ばれる
独特の通過儀礼としての修行が行われるようになり、
徐々に薬物や機械をもちいた「洗脳」が行われるようになったのです。

・愛のイニシエーション

麻原彰晃のDNAを抽出した液体を飲むイニシエーション。

・血のイニシエーション

麻原彰晃の血液を混ぜた液体を飲むイニシエーション。

・ルドラチャクリンのイニシエーション

薬物のLSDを混ぜた液体を飲むイニシエーション。
手っ取り早く神秘体験を起こさせていたとみられます。
なお、このLSDは、麻原彰晃が一度口に含んだものが用いられます。

・水中クンパカ

ヨガの呼吸法のひとつ「クンパカ」を水中で行う修行。

・アンダーグランド・サマディ

土の中のコンテナで何日間も瞑想する修行。

 

信者の現在は?

現在のオウム真理教の国内の信者数は、
昨年6月の公安調査庁によると約1650人にものぼるといわれています。

現在教団は、「アレフ」と改称した主流派と、
平成15年(2007)に上祐史浩元幹部らによって
設立された「ひかりの輪」とに分裂しています。

一連の教団の起こした事件を知らない若い世代を中心に
信者の数は増加傾向にあります。

 

幹部の学歴は?

事件の報道の中で、教団の幹部の多くが
東大や京大出身エリートぞろいということで話題になりました。

主要な幹部の学歴を挙げてみます。

・上祐史浩

早稲田大学卒、同大学院理工学研究科修士課程修了。

・林郁夫

慶應義塾大学医学部卒業。

・青山吉伸

京都大学法学部卒業。

・中川智正

京都府立医科大学医学部医学科卒業。

・遠藤誠一

帯広畜産大学卒、同大学院畜産学研究科獣医学専攻修了、
京都大学大学院医学研究科博士課程に進学のち中退。

・土谷正実

筑波大学農林学類卒、筑波大学大学院化学研究科修士課程修了。

・広瀬健一

早稲田大学高等学院卒、
早稲田大学理工学部応用物理学科を首席で卒業。

なぜこれだけ高学歴のエリートが犯罪に
手を染めてしまったのかということは、
しばしば話題となってきました。

教祖・麻原彰晃はヨガの仕組みに非常に通じていて、
信者にうまく神秘体験を体感させる事で
巧みに洗脳していったといわれています。

学力的に優秀な人たちにとっても、
書物や学問的な理論とは別に、身体を通して得た体験というのは、
おそらくかなり強烈で、考え方の根本が
一度に変わってしまうことだったのではないでしょうか。

 

オウム真理教事件とは?

オウム真理教の教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)によって、
救済の名のもとに軍事訓練や、
自動小銃の密造や化学兵器の製造などを行って武装化し、

教団に敵対する人物の殺害や無差別テロなど、
数々の凶悪な犯行が引き起こされました。

以下が、一連の凶悪事件の中で、
いわゆるオウム三大事件といわれるものです。

【坂本弁護士一家殺害事件】

平成元年(1989年)11月4日、オウム真理教問題に取り組み、
教団を批評・追求していた弁護士・坂本堤さんと妻、
一歳になる長男の3人が殺害されました。

平成7年(1997)、地下鉄サリン事件の発生後、
オウム真理教の信者への本格的調査が進み、
実行犯のひとり・岡﨑一明の自供により犯行が明るみに出ました。

遺体は山中に埋められており、
平成7年に遺体が発見される前までは失踪事件として扱われていました。

【松本サリン事件】

平成6年(1994)6月27日、長野県松本市の裁判官官舎を狙い、
猛毒ガス・サリンが散布され、死者7人、100人以上が重軽傷を負いました。

当初警察は、第一通報者である会社員・河野義行さんを疑い、
メディアもそれを受けて河野さんが犯人であるかのように報道しましたが、
オウム真理教の犯行と判明した後、警察とマスコミ各社は河野さんに謝罪しました。

ずさんな調査・行き過ぎた報道が明らかになった、
冤罪事件のひとつとしても知られます。

【地下鉄サリン事件】

平成7年(1995)3月20日午前8時頃、
まさにラッシュアワー時に、東京地下鉄の丸ノ内線、
日比谷線で各2編成、千代田線で1編成、計5編成の
地下鉄車内にて猛毒ガス・サリンが撒かれ、
13人の死亡者と約3,800人以上もの多数の重傷者を出しました。

直前に、信者の家族の拉致監禁事件を起こしており、
その調査が教団に及ぶのを免れるのを目的として、
都市部中心を混乱におとしいれるために実行された無差別・同時多発テロでした。

 

先日、NHKにてオウム真理教事件を取り扱った番組が放送されました。
教団の絡む事件を直接知らない世代も増えてきつつある現在、
決して風化させず、報道されていかなければならないと思います。