七夕の画像

七夕の伝説については、昔から語り継がれていますが、今回は日本の大阪府枚方市と中国での伝説について取り上げていきたいと思います。

また、七夕の真実や子供に教える時にどういう風に伝えたらいいのかなど、お話ししていきます。

7月の行事といえば、7月7日の七夕の節句。

年に一度の七夕の夜だけ、天の川に隔てられた織姫と彦星が会うことができるという物語はロマンチックですね。

私の育った田舎の家の庭にはたくさん笹が生えていたので、子どもの頃はきょうだいみんなで何枚もの短冊に願い事を書いて、庭に生えている笹にずっしりと結びつけた思い出があります…。

子ども達も楽しみにしているイベントですが、そもそも、七夕ってどんな由来があるのでしょう?

 

*七夕の伝説 〜織姫と彦星の物語とは?

もともと七夕は、五節句(人日:七草、上巳:桃の節句、七夕、重陽)のひとつとして、奈良時代に中国から日本へ伝来した文化でした。

古来中国では、天の川の東にある織女星(琴座のベガ)は養蚕や針仕事を司る星、西にある牽牛星(鷲座のアルタイル)は農業の時季を知らせる星とされていました。そしておよそ1世紀頃に、年に一度7月7日だけ織女と牽牛が逢えるという物語が生まれたようです。

その物語のあらすじは・・

「天の川の両岸にそれぞれ、働き者の織女と牽牛がいました。二人の仕事ぶりを認めた天帝が織女を牽牛に嫁がせたところ、仕事を怠けるようになってしまったため、怒った天帝が二人を再び天の川の両岸に引き裂き、年に一度の7月7日の夜だけ逢えるようになりました。」

というのがよく知られたストーリーです。

 

*大阪に七夕伝説ゆかりの地があった!

この牽牛織女の物語が、日本で強く根付いている場所があります。

そのひとつが、大阪府枚方市。この地域には、「天の川」という名の川が流れているんです!大阪府の東北部に位置する枚方市・交野市一帯は、平安時代には「交野が原」と呼ばれ、貴族たちに愛された風光明媚な土地でした。

このあたりには甘く美味なお米が実ることから「甘野(あまの)」とよばれ、ここを流れる川は甘野川と呼ばれたそうです。

この地に機織や養蚕の技術を持った大陸からの渡来人が移り住み、それに伴い大陸の文化も流れ込みました。この「甘野」という名を持つ交野が原を、地上における七夕伝説の地と位置づけられるようになったといわれています。

この地には、天の川が淀川と合流する直前に架かっている橋は「かささぎ橋」と呼ばれています。

七夕の夜、かささぎが幾羽も飛んできて天の川に橋を架け、その橋を渡って二人が逢うといわれていることに因んでいるそうです。

また、天棚機比売大神(あまのたなばたひめ)を祭る機物神社という神社があったり、天の川を隔てた対岸の高台には、中山観音廃寺跡に牽牛石と呼ばれる大きな石があったり。

七夕伝説や星にまつわる地名や史跡が、まるで星を散りばめたように点在しているのです。ロマンチックですね!

七夕の時期には、お祭りなどさまざまな催しもあるそうなので、ぜひ訪れてみたいですね。

 

*七夕の由来 〜どうして短冊に願い事を書くの?

中国では、7月7日に、この織女にあやかって機織や裁縫の上達を願い、針に糸を通したものをお供えするという「乞巧奠(きっこうでん)」という風習が行われるようになります。これが奈良時代に日本に伝来し、宮中行事として行われるようになりました。

「奠(てん・でん)」とは「おそなえものをする」といった意味。つまり、「(裁縫などが)巧みに、器用にできるように乞い願う」ために、天にお供え物をするという行事ですね。

ちなみに私は、平安時代に、実際に宮中行事の乞巧奠に用いられていたという針を見たことがあります。奈良国立博物館で毎年秋に行われている正倉院展に出陳されていました。神様にお祈りする儀式用の針ですので、確か全長35センチ程のかなり大きな針だったと記憶しています…宮中行事としての格式の高さが窺えますね!

また、日本には元々、お盆の時期に「棚機都女(たなばたつめ、機織りをする女性のこと)」が、お迎えするご先祖さまのために捧げる布を織るという風習がありました。この機を織る女性が使う織り機が「棚機(たなばた)」と呼ばれるものであったそうです。

また、お盆に際してお迎えするご先祖様のために精霊棚と幡をそなえることから「棚機」、「棚幡」と表記していたともいわれています。それらをそなえるのが7月(もしくは新暦の8月)7日の夕方だったために「七夕」というようになったようです。

中国伝来の牽牛織女の物語と乞巧奠の風習、それに日本古来のお盆の行事とが習合して、裁縫だけでなく、詩歌や習字などのいろいろな習い事の上達を願って短冊を飾るようになり、やがて現在のような形になったと考えられています。

 

ところで、お子さんが短冊に願い事を書くとき、どんなことを書いていますか?

「いっぱいお小遣いがもらえますように!」「来月の誕生日プレゼントには、○○がもらえますように!」なんてお願いごとを書いていませんか?

(私は書いていました…。)

でも、これからは、こんな風にお子さんに説明してみてはいかがでしょうか?

「七夕はね、もともとはあの織姫さまにあやかって、器用にお裁縫ができるように、他にもお習字とかお稽古ごとが上手になるようにお願いする行事だったんだよ。だから、今お勉強していることや、習い事していることがあったら、それがうまくなりますようにってお願いごとをすると、きっと叶うよ。」

「もともとは、ご先祖さまに感謝するために、織姫さまや昔の女の人たちは布を織って捧げていたんだよ。だから七夕の日は、ご先祖様とか、おじいちゃんやおばあちゃん、家族みんなを大切に考える日なんだよ。」

今年の七夕は、こんな風にお子さんに声をかけて、一緒に短冊にお願いごとを書いてみませんか?